本ブログを書く理由について

なぜブログを書こうと思ったのか。ブログを書くことに至った理由は3つあります。
一つ目の理由は、世界同時不況になった原因、そしてこの不況が日本に与える影響、そしてその処方箋について自分の考えをまとめたいと思ったからです。加えて金融機関で働くことで見えてくる実務家の視点での「今の経済では何が問題なのか」ということについても書きたいと思います。

二つ目の理由は、大学・大学院で経済理論を学んだ経験と金融機関で働いた経験から、私が感じた経済理論と金融実務のギャップを表現したいと思ったからです。経済学者やエコノミストが議論している経済の問題と金融実務での現場で感じている経済の問題の両方の視点から、経済・金融について考えていきたいと思います。

そして最も重要な三つ目の理由は、「生産者になりたい」という想いからです。私が大学院に進学した理由は「なぜ日本経済は長期の低迷を続けているのか」と「日本経済が低迷している理由について自分なりの考えを持ちたい」という問題意識から来ています。2000年台前半、日本経済がバブル崩壊後の傷のから回復していない頃、様々な議論がなされていました。構造改革が必要、デフレを止めるのが先だ、いや不良債権処理が一番だ、財政政策は有効なのか、金融政策で解決できる、といった感じです。もはやどの議論が正しいのか本当にわかりませんでした。そこで、大学院に進学し、経済学を研究することで、自分の考えをもとうと思ったのです。

そして大学院に進学しましたが、そこで衝撃的な文章に出会いました。それは、上級マクロ経済学を担当していた岩本康志先生のhttp://www.e.u-tokyo.ac.jp/~iwamoto/Courses/HowToSurviveEconGradPrg.htmlに書かれていたものです。以下、引用です。

問題を解決するということは,教科書の練習問題を解くという意味ではありません。そもそも,どのような問題を設定するのか,ということが大変に重要なのです。1・2年の授業においては,さまざまな経済の問題が提示されるはずです。そのときに,その問題がどのように重要なのか,なぜその問題がとりあげられたのか(多数の問題のなかから,どのようにして重要な問題に絞り込むのか),を自分で考えることが必要です。そして,どのような解答を与えるのか,をまず自分で考えるべきです。その後に,授業や教科書から,経済学者がどのようにその問題に取り組んだか,そしてどのような解答が与えられたか,あるいは未解決のまま残されているか,を学ぶようにします。この自分で考えるという部分が欠落すると,教科書を暗記し,練習問題を黙々と解くという,単なる高等知識の消費者に終わってしまいます。研究者になることは,生産者になるということです。

大学院に進学するために経済学の勉強をし、また大学院に進学してからはさらに日々経済学の研究に励んでいました。しかしながら日々の勉強に追われいっぱいいっぱいになっているころ、私は大学院に進学する際の問題意識である「なぜ日本経済は長期の低迷を続けているのか」と「日本経済が低迷している理由につついて自分なりの考えを持ちたい」ということを忘れており、ただ経済学を勉強し、新たなモデルを理解することに満足していました。まさに「単なる高等知識の消費者」になっていたのです。


「研究者になるということは、生産者になるということです。」

当時これほど衝撃を受けた文章に出会ったことはなかったかもしれません。アルキメデスは湯船に入ったときに浮力の原理を発見した際、感動のあまり風呂から飛び出し、裸のまま街中を走り回ったという逸話を残しています。例えるにはあまりにも恐れ多いですが、気分はまさにそんな感じでした。研究者にはなれませんでしたが、「経済学に対して消費者ではなく、生産者としてありたい」という考えは常に持っています。その考えから本ブログを書こうと思った次第です。

以上が本ブログを書くことに至った理由です。
大学院で学んだCoolな経済理論と金融機関で働くことで経験したWarmな金融実務を交えて考えて行きたいと思います。

P.S
バブル崩壊後の日本経済について各論者の意見をまとめた本をリンクします。私が当時大学生で経済の知識がほとんどなかった頃は、この2冊を図書館で借りて、どんな経済理論があるのか参考にしていました。それにしても本当意見はばらばらです(苦笑)


経済大論戦―1冊で50冊の経済書を読む (朝日選書)

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経済大論戦2 1冊で55冊の経済書・ビジネス書を読む (朝日選書)

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