リアルな問題意識〜Theory and Practice〜

前回ブログを書く理由について書きましたが、その根底には心の奥底から沸いてくる1つ強い何かがありました。それは「本当の問題意識を持つことが出来た」ということです。

私は大学院に進学した際には研究者養成コースにいたので、そのまま博士課程に進学することも出来ました。

しかし、大学院で研究していても「経済で何が問題なのか」ということが見えてこなかったのです。もちろん、新聞や雑誌、経済書を読むことでそれらしき問題意識は見えてきます。ですが、心の底から感じるほどの問題意識はもつことが出来ませんでした。それならばと思い、博士課程への進学をあきらめ、金融機関に就職することで、経済の問題を実感したいと思いました。また前回ご紹介した岩本先生の文章にも「自分で考えて問題を設定することが重要」と書かれているように、自分で問題を考えて設定することが出来なかった私は、いま思うと、博士課程には行く資格もなかったといえます。

大学院修士課程を終え、金融機関に勤め約3年がたった現在、大学院生の頃には持てなかった問題意識を持てるようになりました。それは、前回のブログの一つ目の理由で書いた、「世界同時不況になった原因、この不況が日本に与える影響、そしてその処方箋」です。

ありきたりな問題意識ですが、金融機関で働き、利益を追求することを求められている状況にいるせいか、上記の問題意識は院生の頃とは比べ物にならないほどリアルに感じます。融資先が破綻したり、ローンがデフォルトしたり、また会社の内外でクビになる人を目の当たりしていると、経済の不況の恐ろしさを肌で実感します。このような経験は大学院にいては出来なかったので、それだけでも就職したかいがありました。

また逆説的ではありますが、大学院で経済学を学んでいたおかげで、現在の世界的な金融危機についてリアルな問題意識を持つことが出来たともいえると思います。

大学院で経済学を学び、そして金融機関で働いたことで問題意識を持つことが出来ました。本ブログを書きながら、TheoryとPracticeのバランスの重要さを再認識した次第です。