なぜリーマンは救済されずに破綻したのか?2
前回の続きで「リーマンが救済されなかった理由」について考えてみたいと思います。まず最初は、金融機関で国際金融業務の実務畑に長年従事した堀川直人氏著書の「ウォール街の闇」よりリーマンが破綻した理由を引用したいと思います。
1.リーマンの経営危機は、約1年間かけてゆっくりと進行した。その間に、FRBは、銀行向け緊急貸出制度の適用範囲を証券会社にも拡大した。リーマンはこれを使って立ち直るチャンスがあったにもかかわらず、同社はその努力を怠った。
2.リーマンはサブプライム証券化の中心的プレーヤーであった。それに加えて、ロサンゼルス郊外の不動産開発事業の失敗による巨額損失があった。こうした企業を公的資金で救済するのはいかがなものか。
3.証券会社は、預金や保険料のような形での巨額の預かり金を持っていない。しょせんは手数料稼ぎの商売であり、破綻による影響は銀行や保険会社ほどではない。
4.金融機関のモラルハザード(経営倫理の欠如)に歯止めをかけ、ドル下落を防止をするためには、公的資金の無制限な投入はさけるべきである。
上記は筆者の仮説によるものですが、ポイントは非常に押えられていて、リーマン破綻時にニュースで解説されていた論点はほぼカバーされています。
仮に上記をことを想定し、米政府とFRBがリーマンを救済せずに破綻させたとするならば、米政府及びFRBの失敗は、リーマン破綻の影響が予想以上に大きかったということでしょうか。
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