セミナー3「小室淑恵さん ワークライフバランス①」
先週、ワークライフバランスの第一人者である小室淑恵さんのセミナーに参加してきたので、そのセミナーの内容について軽くレビュー致します。
小室さんは、資生堂に勤務した後、独立し、育児休業者・介護休業者の支援プログラムの提供やワークライフバランス組織変革コンサルティング事業を手がける㈱ワークライフバランスを立ち上げました。小室さんの代表的な著書としては以下があげられます。
なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか? 6時に帰る チーム術
- 作者: 小室淑恵
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2008/12/30
- メディア: 単行本
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上記の本については、今年の4月頃すでに読んでいましたが、本当にお薦めの1冊です。結婚や出産をした後も働きたいと思う女性は絶対読んだ方がいいです。出産とベンチャー立ち上げ時が重なりながらも仕事をこなし、出産後もすぐに会社復帰した際の仕事術や育児をしながら6時に帰る一方で、いかに仕事の生産性をあげるかなどが、パワフルに具体的に書かれています。
さて、ワークライフバランスとはそもそもなんでしょうか。「9割仕事1割プライベートを、6割仕事4割プライベートのようにバランスよくさせること」というイメージをしている人はけっこう多いのではないでしょうか。私もそのように考えておりました。
小室さんはワークライフバランスを以下のように定義しています。
「ライフが充実すれば、人脈・アイディア・スキルが得られて結果的にワークの質と効率が高まること。」
言い換えるならば、「『ライフ』の場でのインプットが『ワーク』の場でのアウトプットには必要不可欠であり、『ライフ』を重視することが『ワーク』の生産性を挙げる一番の近道になる」ということです。
「ライフでのインプットが、ワークでのアウトプットを高める」というフレーズにはかなり衝撃を受けました。自分がまったく意識出来ていなかったという点でも個人的には2009年に最も影響を受けたフレーズの一つです。
では、いまなぜワークライフバランスが必要なのでしょうか。
その答えを知るためには、日本の現在の労働環境を知る必要があります。
まずは以下の統計結果を見てみてください。
上記の統計からわかることは、残業時間はトップクラスなのに、仕事の成果は最低クラスということです。言い換えるならば、時間はかけているけれど、生産性は低いという状況です。
このような状況に陥った理由は、人々の生活環境が変わったにもかかわらず、日本人は40年前と同じ仕事のやり方をしているからだと小室さんは指摘しています。40年前の経済環境及び仕事の状況をまとめると以下の通りです。
- 経済環境 需要旺盛 モノやサービスに飢えていた。
- 仕事の環境 早く、安く、大量にモノを作る。人件費は安い。残業は善の考え
他方、現在はどうでしょうか。
- 経済環境 モノやサービスに満ち溢れている。斬新な付加価値が必要。
- 仕事の環境 付加価値の高いものを作る必要あり。人件費は高い。残業は善の考え?
今のような経済環境で日本人に求められる仕事は、必ずしも40年前のように安い人件費で大量にモノを作るということではありません。短時間で斬新な発想が求められるのです。ですが、我々は今も40年前の成功体験に引きずられ、昔と変わらず残業が善として仕事をしているのが問題だと小室さんは指摘しています。
では、斬新な発想を生み出すためにはどうすればいいのでしょうか。そこで重要になるのがライフです。ライフでのインプットがワークでのアウトプットには重要になってくるのです。