【読書日記12】竹中教授の14歳からの経済学1

本日は以下の1冊を御紹介致します。

竹中教授の14歳からの経済学

竹中教授の14歳からの経済学


これまで、「14歳からの世界金融危機」や「15歳からのファイナス入門」といった14、15歳シリーズを御紹介してきましたが、今回は元金融担当大臣で現在慶應義塾大学教授である竹中平蔵氏による「14歳から経済学」についてです。

本書は、高校1年生から高校3年生までを対象に竹中平蔵氏により開催されている「スーパー・エコノミクス・プログラム(SEP,通称「竹中塾」)」の授業や他の地域で行われた「特別授業」を元にして、書かれた本です。

本書の特徴は、必ずしも経済や経済学の理論を易しくかつわかりやすく解説している本ではないということです。その点で、「東大生が書いたやさしい経済の教科書」や「カリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 日本経済編 」とは似て非なるものとなっています。では、本書では何が書かれているのでしょうか。エッセンスは以下の3点です。

  • 経済はとても大切だけど、つかみどころがない。
  • 経済の問題に絶対的な完全な正解はない。
  • What's the problem? What's the solution?


まず「経済はとても大切だけど、つかみどころがない。」についてです。そもそも経済とは何でしょうか?最近私はこの質問を人にすることがよくあります。 特に本の著者にお会いしたときには必ず聞くことにしています。

驚くことに答えは千差万別です。しかも皆まず間違いなく、迷います。経済を「交換」と考える人、「流通」と考える人、はたまた「金回り」と考える人など。経済を「人が幸せになるためのもの」と考えている人もいました。

もちろん、どれが正解でどれが間違いということではありません。経済はそれぞれの側面を持っているといえます。ただ、少なくともこれらの回答から、「経済」という身近なものに対して、必ずしも我々は共通の見解・認識を持っているわけではないことがわかります。つまり、つかみどころがないのです。

本書では経済を「世の中のあり方」と定義しています。今の世の中、世の中から離れて生活することは出来ません。コンビニで買い物をしようが、会社で仕事をしようが、仕事終わりに一杯やろうが、すべて世の中が関わってきます。家で一人でテレビを見たとしても、世の中が関わってきます。家でテレビを見ずに電気を消してこもっていようが、選挙カーの応援演説や暴走族のバイク音が聞こえてくることもあるので、我々は世の中から離れて生活することは出来ません。だからこそ世の中のあり方を現している経済が大切になってくるのです。

次に2番目の「経済の問題に絶対的な完全な正解はない」についてです。竹中先生の定義では、経済とは「世の中のあり方」のことでした。では、世の中のあり方に絶対的な答えはあるのでしょうか。もちろん、多くの場合、答えはありません。本書では「郵政民営化」を例としてあげていますが、郵政民営化についても、正しいのか、正しくないのか、様々な考え方があります。

ところで、私が大学で経済に興味を持ったのは、「なぜ日本は不況になったのか。なぜこんなにも不況が続くのか」を知りたくなったからです。いろいろな文献に当たりましたが、驚くことに(?)どの経済学者やエコノミストも違ったことを言っていました。時にはノーベル経済学者同士でさえも、間逆のことを言っているのです。すなわち、竹中先生が指摘するように、経済の問題に絶対的な答えがなかったのです。

では、どうすべきか。私が考えた答えは「自分で考えるしかない」でした。自分で考えることが出きるようになるためにも、経済学を基礎からきちんと学ぼうと思い、大学から本気で経済学の勉強をするようになりました。

長くなるので、続きは次回です。

<参考文献>