【経済学】マンキュー経済学第10章「外部性」について
マンキュー経済学10章のテーマである外部性についてです。マンキュー以外のミクロ経済学のメジャーどころの教科書を読み比べました。ざっとまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。難易度順に並べています。
①Stiglitz,Walsh(2005)「Economics fourth edition」NortonP405〜P 419(邦訳版ではスティグリッツミクロ経済学) マンキューと同レベル
- Chapter18で「Environmental Economics」(環境経済学)として外部性を扱っている。
- スティグリッツらしく環境問題について経済学の分析を応用している。
- 政府がどのように介入すれば環境問題を解決できるかの具体例が非常に豊富。
②Krugman,Wells(2009)「Economics second edition」WORTHP433〜454(邦訳版ではクルーグマンミクロ経済学) マンキューと同レベル
- 限界(marginal)の概念を用いて外部性のコストベネフィットを説明している。
- Network externalitiesの説明が非常に充実している。
- positive feed backの解説もあり。
③八田達夫(2009)「ミクロ経済学Ⅰ市場の失敗と政府の失敗への対策」東洋経済新報社P239〜P277 初級レベル
- 自由放任と政府介入の違いについての視点から外部性を分析している。
- 外部性に対する対策としての数量規制とピグー税それぞれの効果の違いをグラフを用いて分析している。
- 規模の経済、産業の集積の利益、ネットワーク外部性、商品規格など外部性の応用例が豊富。
④武隈愼一(1999)「ミクロ経済学 増補版」新世社 P242〜P249 初〜中級レベル
- 公共経済の一分野として取り扱っている。具体例があまりないため、外部性に割いているページは少ない。
- バンドワゴン効果(流行を追いかける現象)、スノップ効果(人とは違う特別なものを消費することを好むこと)、ヴェブレン効果(より高価なものを好む現象。価格が上昇するとかえって重要が増大することがある)について記述あり。
- 「企業間に外部性が存在しても、もし企業間の交渉に取引費用が一切かからなければ、効率的な資源配分が達成される」ことを数式で説明している。また「効率的」かどうかに重点をおいて説明している。
⑤西村和雄(1995)「ミクロ経済学入門第2版」岩波書店 P285〜P294 初〜中級レベル
- 市場の失敗のひとつして外部性を扱っている。
- 外部性を一般均衡分析の視点からも分析している。数式での説明もあり。
- 公共財(非競合性と非排除性の性格を持つもの)を外部効果の特殊ケースとして説明している。
⑥Hal Varian(2010)「Intermadeiate MicroEconomics 8th edition」Norton P645〜P665(邦訳版では入門ミクロ経済学) 初級から中級レベル
- 数式での分析が非常に充実してる。
- 外部性を「consumption externalities」と「production externalities」の二つの視点から分析している。
- 「共有地の悲劇」について外部性を用いた解説がある。
以上