日本経済不況の原因は何か6〜為替と金利の不思議な関係〜
前回では、円安バブルの発生の原因の1つとして円キャリートレードがあったことを指摘しました。またこの円キャリートレードには個人投資家もFXや外貨預金を通じて、多く関わっていたことについても述べました。さて、外国の金利が高く、FXや外貨預金が個人投資家の間で流行っているとき、よく以下のような会話を聞きました。
「為替リスクはあるけど金利が高い。金利で儲けることが出来るから大丈夫だ。」
少なくともこのような話を私は何人かの人から直接聞きました。では、このことが本当か前回使った例で検証してみましょう。前回の例は以下の通りです。
1.金利1%でアメリカが金利5%の時、日本の円で資金を調達し、アメリカのドルで運用をすれば、利ざやの4%を儲けることできます。
上記の例のように、他の条件が一定で、金利差があるならば、「絶対」に儲かりますよね。
そして、もう1つ為替と金利の特徴について知るため為替のニュースを引用します。
2.午後2時過ぎに米連邦準備理事会(FRB)がFOMCで事実上のゼロ金利政策を据え置くことを発表。声明文では景気の下振れリスクに言及。長期国債買い入れの用意があるとの文言もあった。ただFOMC後に米長期金利が大きく上昇したため、対主要通貨でドル買いが膨らみ、つれて円には売りが出た。
最後の箇所だけ要約してみると「米長期金利が大きく上昇したため、ドル買いが膨らみ、円には売りが出た」となっています。どういうことでしょうか。この答えのヒントを知るため小宮先生の「お金を知る 技術増やす技術」からの引用です。
3.米ドルが2008年の初めに円に対して急激に安く(ドル安、円高)なり、その前は1ドル=120円前後だったのが、一時は95円まで円高になったのはなぜか分かりますか?
答えは、米国の金利が下がったからです。一般的には、金利の高い通貨が買われる傾向にあります。ところがサブプライム問題の影響で、5.25%あった米国の政策金利は短期の間に一気に2%まで引き下げられました。それがドル安円高を生んだのです。
これで2のニュースの意味が分かったと思います。3の赤字に書いてあるように「一般的には金利の高い通貨が買われる傾向」にあるのです。2のニュースでは、米長期金利が上昇したことで、ドルが買われ、円が売られたということをいっているのです(ニュースのまんまですが・・・)
さて1〜3までをまとめると以下のことがわかります。
高金利の国に投資をするとインカムゲインで儲けることが出来ます。さらに、高金利の国の通貨は買われることとなります。1の例を再び使うと、ドルのほうが金利が高いので、ドルが買われ円が売られます。ということは、ドル高・円安になることで、ドルに投資をするとキャピタルゲインでも儲けることが出来です。
すなわち、相対的に高金利の国に投資をするとインカムゲインとキャピタルゲインの両方で儲けることが出来ることになるのです!!!金利差で儲かるのは当たり前ですし、金利が高い国の通貨が買われることは、ニュースでも報道されていますし、大学の先生の本にも書かれています。ここに投資必勝法の完成です!
でもこれって何かおかしいですよね。それは何でしょうか。続きは明日です。
<参考文献>
お金を知る技術 殖やす技術 「貯蓄から投資」にだまされるな (朝日新書)
- 作者: 小宮一慶
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/08/08
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