日本経済の不況の原因は何か7〜為替の直物と先物〜

前回では、金利が高い国の通貨に投資をするとキャピタルゲインインカムゲインの両方で儲かる可能性があることについて述べました。その理由は以下の通りです。

より具体的に解説します。仮に現在1ドル=100円で、アメリカの金利が5%、日本の金利は1%としましょう。日本で円を借りて、アメリカで1年間運用するとします。為替の変動がなければ、金利差で4円(=5-1)を儲けることができます。

次に、前回にも書いたように「一般的には、金利の高い通貨が買われる傾向にある」ため、この考えに従うと、アメリカの方が金利が高いので、ドルが買われ、ドル高・円安に触れることとなります。すると、仮にドルが買われることで、1ドル=100円が、1ドル=110円になったとすると、10円の為替差益が得られることとなります。

よって、金利の高い国に投資をすると、金利と為替差益の両方で儲ける事ができるのです。そして、これが円キャリートレードです!!あなたも早速金利の高い通貨に投資をしましょう!!という、説明を真に受けてしまうと、為替では大損をこいてしまう可能性があるので気をつけてください。

結論から言います。金利の高い通貨の将来の価値は減価することとなります。上の例で言うならば、アメリカの方が金利が高いので、ドルは将来ディスカウントされる、すなわち将来のドルは[[ドル安]]になるということです。金利の高いドルが将来ドル高になるのではないですよ。もう一度書きますが、ドル安になるのです。そして、金利が高い通貨が減価することで、金利の儲けが相殺されることとなるのです。

いったいどういうことだ?金利が高い通貨は買われるはずだから、ドル高になるのではないのか?ニュースでもそう報道されているし、本にもそう書いている。

こんな声が聞こえてきそうです。「金利が高い通貨の将来価格は減価する」とはどういうことでしょうか。ここで、将来を使うために「先物」を使って説明します。上の例を再び使います。現在1ドル=100円で、アメリカの金利が5%、日本の金利は1%とします。円キャリーを使って、1ドル=100円で円を借りて、1ドルをドルで運用します。すると、以下の貸借契約が存在することとなります。

  • 現在、100円を借り入れて、それをドルに変える。よって、1ドルを保有
  • 借りたお金をドルで運用するので、1年後には1.05ドルをもつこととなる。
  • 1年後には100円に金利1%をつけて、101円で返す必要がある。
  • 1.05ドルを再び円に代えて、101円を返す。

さて、為替の変動をヘッジするため、先物取引で1年後のドル円を確定することにしましょう。「先物取引」とは、いわば予約取引であって、将来に交換が行われる際の条件を現時点で決めて、その契約を行うことです。あくまでも契約だけです。ちなみに「来週の金曜に宴会コースを予約します。」と居酒屋に電話することもある種の先物取引です。

仮に1年後のドル円が現在と同じ1ドル100円とします。すなわち、先物レートが1ドル100円という状態です。ということは、100円を借りて、それを1ドルに変えて、1年後1.05ドルになったところで、先物取引をしているので、1ドル=100円のレートで交換をすれば、105円手に入ります。100円に金利1%を上乗せして、101円を返せば、4円が儲かります。先物取引をすることで、為替の変動もヘッジが出来、「確実」に4円が儲かります。

リスクゼロで、「確実」に金利差である4円が儲かる取引。そんなものが世の中に存在しますでしょうか?そんな取引存在しませんよね。でも一番最初の例に戻るならば、その例では4円どころか、4円以上儲かるといっているのです。だって、金利に加え、為替益も儲かるって言っているのですから。そう考えると、一番最初の例って何かがおかしいですよね。

何がおかしいのでしょうか。続きは次回です。