日本経済の不況の原因は何か13〜為替はどのように変動するのか〜
前回では、「フォワードルッキングパズル」について述べるとともに、日銀のワーキングペーパーをご紹介いたしました。このワーキングペーパーの結論の1つには「一旦巻き戻されると低金利通貨は急騰し、ボラティリティも高まり易い」というものがありました。では、このような為替の動きを経済学のモデルでは捉えることが出来るのでしょうか。通常、ファイナンスでよく用いられるのが「正規分布」です。
例えば、野口先生の「金融危機の本質は何か」は以下が書かれています。
現実の株価についてデータを調べてみると、その分布は対数正規分布によってかなりよく近似できることが確かめられている。つまり、ランダムウォークの株価決定モデルは、現実の株価の動きをよく説明するものとして適切であると認められているわけだ。同様のことが為替レートについても言える。
なお、「対数正規分布」とは、「値の対数が正規分布する」ということである。
上記のように、株価や為替の動きは対数正規分布で「かなりよく」説明できるとのことです。ここでのポイントはあくまでも「かなりよく」ということです。しかしながら、この「かなりよく」説明できる部分で説明されない残りの部分が場合によってはとんでもない大惨事を引き起こす可能性があります。
続きは次回です。
<参考文献>
- 作者: 野口悠紀雄
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/01/01
- メディア: 単行本
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