経済学者アンケート 経済政策はどうあるべきか

米国の33代大統領ハリー・トルーマンはかつて以下の言葉を発しました。

隻腕の(one-armed)経済学者を見つけたい。

トルーマンがブレーンの経済学者たちに助言を求めると、経済学者たちはいつも次のように答えたからです。

一方では(on the one hand)・・・ですが、他方では(on the other hand)・・・となります。

財政政策は実施すべきか、金融政策は継続すべきか、消費税は上げるべきかなど、経済者達の意見はいつも異なります。では、総体として経済学者達は今の経済状況をどのようにえているのでしょうか。

10月16日の日経経済教室では、日本経済学会に所属している経済学者を対象とした経済学者アンケートの回答が掲載されていました。以下サマリーです。

■経済学者が考える政策の方向

  • 財政政策
    • 必要な分野に絞って拡大すべき 約60%
    • 拡大すべきではない 約23%

  • 日銀の金融政策
    • 出口戦略」を考慮すべき 約40%
    • 現行の緩和政策のままでよい 約37%
    • より一層の緩和が必要 約15%

  • 今後の消費税率
    • あげるべき          約70%
    • 現状維持を          約15%

  • 最終的な消費税率
    • 6%以上10%未満        約19%
    • 10%以上15%未満       約50%
    • 15%以上20%未満         約22%

  • 現在の世界経済危機は何年に一度の危機と見ているか。
    • 30年に一度           約23%
    • 50年に一度           約20%
    • 100年に一度/過去に経験したことがない 約15%         

  • 危機克服にどの程度の時間がかかるか
    • 世界経済 全治2〜3年 52%
    • 日本経済 全治2〜3年 45%


上記は日経のアンケートによるものですが、一般的な経済政策についてはどうすべき(どうあるべき)と経済学者は考えているのでしょうか。

経済学者の個別具体的な意見は多くの場合分かれますが、基本的な考え方にはだいたいのコンセンサスがあります。例えば、政策提言と経済学者の賛同率については以下のような結果が出ています。

  1. 家賃の上限規制は住宅供給の量・質ともに低下させる。93%
  2. 関税と輸入割り当ては一般的な経済厚生を低下させる。93%
  3. 変動為替相場制度は有効な国際通貨制度である。  90%
  4. 完全雇用状態の経済では、財政政策(減税や財政支出拡大)には顕著な景気刺激効果がある。90%
  5. 連邦予算を均衡させるためには、毎年の値ではなく景気循環を通じての値を均衡させるべきである。85%
  6. 生活扶助受給者への現金給付は、同額の現物給付よりも受給者の厚生を高める。84%
  7. 巨額の財政赤字は経済に悪影響をもたらす。83%
  8. 最低賃金の引き上げは、若年労働者と未熟練労働者の失業率を引き上げる。79%
  9. 政府は社会福祉制度を「負の所得税」形式に変革すべきである。79%
  10. 環境汚染規制のアプローチとしては、排出税や売買可能な排出権のほうが、総量規制の導入よりもすぐれている。78%


個人的には、1,2,7,8が興味深かったです。
なお、上記は世界中の大学で使われている経済学の教科書である「マンキュー経済学」に記載されています。

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

マンキュー経済学〈2〉マクロ編

マンキュー経済学〈2〉マクロ編

こちらは上記の原書版です。

Principles of Economics (Available Titles Coursemate)

Principles of Economics (Available Titles Coursemate)


上記の内容は最近発売された元グーグル副社長の村上さんが書いた以下の本でも引用されていました。
村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則

村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則


以上、経済学者アンケートについてでした。

P.S
マンキュー経済学書の原書を2年ぐらいかけてすべてを輪読する勉強会を実施する予定です。ご興味のある方は、「マンキュー経済学勉強会」のコミュニティがあるのでミクシーで登録してみてください。